留守番中のふたりが、今日もまた、何かしらやってくれていた。
仕事から帰ってきて、玄関の扉を開けた瞬間、ふんわり漂う――
どこか湿ったような、嫌な予感のする香り。
『あれ……?』
リビングに入って、まず気づいたのは――
クッションが、ひとつ、妙にふわっと浮いている。
近づくと、うっすら湿って、しっとり。
『ぶん……またやったな』
私の声に反応したのか、私の足元からチラリとバツの悪そうに覗く黒いお顔。
でもどこか堂々としている、ぶんw。
後から調べてわかったけれど、
猫って、ストレスを感じると、クッションや布団におしっこしちゃうことがあるらしい。
『さみしかった?』
聞いたって答えないけれど、ちょっとだけ胸がちくりとする。
……でも、事件はそれだけじゃなかった。
テーブルの上に置いていった、コンビニのおにぎり。(※…私が悪い😭)
帰ってきたら――
『……海苔だけない』
ビニールも中身もそのままなのに、
海苔だけが、きれいさっぱり消えていた。
犯猫は……間違いなく、はな。
『はな、好きだもんね。海苔』
はなは知らん顔で、窓辺でひなたぼっこ。
しっぽをくるりと巻いて、優雅にまどろむ。
でも、ラップに小さな歯形がひとつ。
証拠は、しっかり残っていた。
さて、極めつけは――
押入れの戸。
帰ってきたとき、ほんの少しだけ、開いていた。
そっと開けてみると……ベリッ。
『ええっ……!』
ふすまが片方だけ外れかけていて、
中には、ふたりがいたと思しき痕跡。
畳にはうっすらと、ひっかき傷。
戸の端には、小さなガシガシ跡。
どうやら、入りたくて、何度も何度も戸をガシガシして、
ついには、こじ開けたらしい。
そして次の瞬間――
『にゃーにゃーにゃー!』
私の足元で、ふたり揃って鳴きじゃくる。
「おいしーの!」「おいしーのちょうだい!」とでも言いたげにw。
『……はぁ。まったく、ふたりとも』
思わずため息が出るけれど、
でも、なんだかんだ、今日もちゃんとふたりでお留守番してくれていたんだなぁ……と。
私は気づけば、クスッと笑っていた。
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