新着記事

はなとぶんの時間

【ふたりといた時間】第30話:大丈夫と言えた夜

「長くはないかもしれない」亜希子さんが、はなとぶんを託してくれたとき、はなについてそう言ったのを、ふと思い出した。まさか、その言葉をこんな場面で思い出すなんて……。命の尊さを、まさかこんなかたちで理解するなんて——。その言葉がふいに脳裏をよ...
はなとぶんの時間

【ふたりといた時間】第29話:「大丈夫」と言われても

病院で診てもらい、"点滴で様子を見ていきましょう"という言葉に、正直ホッとした。重たい不安のかたまりが、少しだけ軽くなったような気がしたからだ。だけど——それでも、心のどこかはざわついたままだった。"大丈夫ですよ"と先生は言ってくれた。でも...
はなとぶんの時間

【ふたりといた時間】第28話:はじめての病院

車での移動なんて、はなとぶんにとっては引っ越し以来の大冒険だ。人間でいえば、満員電車で遠くの町へ旅するくらいの出来事かもしれない。はなとぶんは、ふたりでひとつ。はなをひとりで通院させるのは心配だったけれど、ぶんが一緒にいてくれれば、それが何...
はなとぶんの時間

【ふたりといた時間】第27話:食べてるのに、不安になる

はなは、今日もカリカリを元気に食べていた。おいしーのの袋を開ける音にも、いつものように反応する。小走りに駆けてきて、お皿の前でおすわりして、まるで「早くちょーだい」と言っているみたいに尻尾をふる。食いしん坊なのは、ずっと変わらない。カリカリ...