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はなとぶんの時間

【ふたりといた時間】第28話:はじめての病院

車での移動なんて、はなとぶんにとっては引っ越し以来の大冒険だ。人間でいえば、満員電車で遠くの町へ旅するくらいの出来事かもしれない。はなとぶんは、ふたりでひとつ。はなをひとりで通院させるのは心配だったけれど、ぶんが一緒にいてくれれば、それが何...
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【ふたりといた時間】第27話:食べてるのに、不安になる

はなは、今日もカリカリを元気に食べていた。おいしーのの袋を開ける音にも、いつものように反応する。小走りに駆けてきて、お皿の前でおすわりして、まるで「早くちょーだい」と言っているみたいに尻尾をふる。食いしん坊なのは、ずっと変わらない。カリカリ...
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【ふたりといた時間】第26話:違和感の足音

はなは窓辺に座って、外を眺めている。いつもの、スフィンクス座りで。でも——なぜだろう。今日のその姿が、ほんの少しだけ、気になった。🟩第3章:変化の気配(26~35話)夕ごはんの用意をしていると、ぶんが小さく鳴いて台所までやってきた。眠そうな...
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【ふたりといた時間】特別版:でも、ふたりはちゃんとそこにいる

朝のリビングは、いつも通りだった。窓際から差し込む陽だまりの中で、はなはスフィンクス座りのまま、じっと外を眺めている。ぶんは、私の足元でのびをしていた。私はテーブルに新聞を広げて、湯気の立つマグカップをそっと置く。ぶんは、お決まりのように膝...