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はなとぶんの時間

【ふたりといた時間】第32話:ぶんの声が遠く感じた日

夜、ふと目が覚めた。それは、どこか遠くから聞こえるような、ぶんの鳴き声だった。——いつもの巡回。毎晩、相変わらずぶんは家の中をぐるっと歩きながら、「んあお〜ん」と狼みたいに鳴く。まるで家全体に「見守ってるよ」と言っているみたいに。でも、その...
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【ふたりといた時間】第31話:呼吸の速度が早くなる

はなが、ごはんのあとに「ゲ〜」とする回数が増えてきた。前までは、たまに食べすぎて吐くくらいだった。でも最近は、食べてすぐに吐いてしまう。カリカリでも、おいしーのでも、関係なく。『また、出ちゃったね』優しく拭き取りながら、心の奥にじんわりと何...
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【ふたりといた時間】第30話:大丈夫と言えた夜

「長くはないかもしれない」亜希子さんが、はなとぶんを託してくれたとき、はなについてそう言ったのを、ふと思い出した。まさか、その言葉をこんな場面で思い出すなんて……。命の尊さを、まさかこんなかたちで理解するなんて——。その言葉がふいに脳裏をよ...
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【ふたりといた時間】第29話:「大丈夫」と言われても

病院で診てもらい、"点滴で様子を見ていきましょう"という言葉に、正直ホッとした。重たい不安のかたまりが、少しだけ軽くなったような気がしたからだ。だけど——それでも、心のどこかはざわついたままだった。"大丈夫ですよ"と先生は言ってくれた。でも...