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短編小説

【ふたりといた時間】第21話:にゃんこ通訳、はじめました

名前を呼ぶと、返事が返ってくる——そんな日が来るなんて、思ってもみなかった。『はな〜』『ぶん〜』そう呼ぶと、それぞれがちゃんと、自分の名前に反応して顔を出すようになった。呼ばれていない方は、耳だけぴくっと動かして、そのまま寝ていたりする。な...
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【ふたりといた時間】第20話:ふたりだけのお留守番

年に、2〜3回ほど。ほんの短い間だけど、家を空けることがある。ちょっとした旅行——そんなとき、はなとぶんは、ふたりだけでお留守番だ。出発の支度をしていると、はなとぶんはなんとなく気配を察する。いつもなら寝ている時間なのに、どこか落ち着かない...
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【ふたりといた時間】第19話:夜中の大運動会

あたりは真っ暗。カーテン越しに、街灯のオレンジ色がぼんやりと差し込んでいる。時計を見れば、深夜1時。静かすぎる夜——のはずだった。……ドドドドド!どこかで何かが転がる音。続いて、「ウォーン!」という軽めの鳴き声。『……やってるな』はなとぶん...
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【ふたりといた時間】第18話:またたび食べて酔っ払い事件

またたびをあげてみようと思ったのは、ある日ふと読んだ本に"猫のストレス解消になる"と書いてあったから。仕事で家を空けることが多い私は、ふたりに寂しい思いをさせているかもしれないと、ずっとどこかで気にしていた。せめて、ほんの少しでも気晴らしに...