猫って、毛づくろいをするときの“タイミング”があるらしい。
おなかいっぱいになったときとか、気持ちを落ち着けたいときとか。
それから、なにか“整えたい”ときにもするんだって。
はなとぶんを見ていると、たしかにそんな気がする。
ごはんを食べて満足したあと。
ひととおり遊びも終えて、ふたりがそばにいるとき——
「ぺろっ……ぺろぺろっ……」
はなが、ぶんの頭を舐めはじめる。
ぶんは目を細めて、ちょっとだけ首をかしげながら、
「そこそこ、そこ舐めて〜」って言ってるみたいな顔。
——と思ったら。
今度はぶんが、はなのおしりのあたりに顔をぐいっと近づけて、
……えっ、そこ!?
……まさかの、舐め返し。
『それ、イヤじゃないの……?』
そう思って見ていると、
ふたりともなんとなーく我慢してるような顔をしてる。
そして、度がすぎると、取っ組み合いのケンカ。笑
順番が逆になることもあるけれど、
頭とおしり。おしりと頭。
どっちもセットでお手入れするのが、ふたりのルールらしい。
いやいや、ちょっと待って。
さっきまでケンカしてたじゃん?
追いかけっこして、「シャーッ!」ってやってたじゃん?
でも、その数分後には毛づくろいしてる。
『……仲直りの儀式なの?』
って思っちゃうくらい、すんなり切り替えて、
まるで何もなかったみたいにペロペロし合ってる。
(猫って、すごいなあ)
そんなふたりのあいだに、
ごくたま〜に、私もまぜてもらえることがある。
たとえば、ぶんが膝に乗ってくつろいでるとき。
はなが、すーっと寄ってきて、私の顔をじーっと見て……
「……んぺっ」
鼻と鼻が、ちょっとだけ触れたあと、
ちいさな舌が、ぺろっと一回。
え? 今、なめた? 私の鼻、なめたよね??
って、ちょっと固まる私。
でも、もう、はなはそっぽ向いて、毛づくろい再開してる。
——照れ隠し?
それとも、「ついで」……?
でも、そんなちいさな“ぺろり”が、たまらなくうれしい。
『……今、認められた気がする』
そんな気分になる。
ぶんも、ときどき。
鼻先をそっと近づけてきて、
「ちょん」と鼻を合わせてくれることがある。
舐めるってほどじゃないけど、
それはたぶん、ぶん流の「わかってるよ」のサイン。
猫の世界にちょっとだけ混ざれたような気がして、
心の中で、こっそりガッツポーズしてた。
ふたりの毛づくろいには、ちゃんと順番がある。
はながぶんを、ぶんがはなを。
——そして最後に、ときどき、私。
だから、今日も願ってる。
『次は、わたしの番かな?』
ってねw。
  
  
  
  

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