ぶんは、落ち着く場所を探すように、押し入れやテント、こたつの中へと、あちこちを移動していた。
今思えば、それは小さな身体で必死に「少しでも楽な場所」を探していたのだろう。
ある朝、目を覚ましてぶんを探した。
『ぶん、どこだ?』
部屋の中を見回しても姿がない。
——あれ? いない。どこへ行った?
そう思ったとき、ふとこたつ布団の下をのぞくと、そこにぶんがいた。
ゼエゼエと荒い呼吸をしながら、目をまんまるにして私を見上げていた。
苦しそうだった。けれど、その目を見ているうちに、不思議と「そっとしておこう」と思えた。
近くにいる。それだけでよかった。
その日の昼下がり、私もこたつで横になっていた。
うとうとしかけた頃、ぶんがすっとこたつに入ってきた。
しばらくすると、またゆっくりと出てきて、
その小さな体を床にドテッと横たえた。
右に、左にとバタバタと体を動かし始める。
——わかった。
その瞬間、胸がざわついた。
これは、ぶんの最後のときだ。
焦らなかった。
はなのときを思い出したから。
あのときのために、はなのように苦しめたくなくて買っておいた酸素ボンベを手に取り、ぶんにそっと向けた。
ぶんの体は必死にもがいていた。
右に、左に。
けれど声はなかった。
酸素が、声を奪ってしまったのだろうか。
その姿は、はなのときと重なっていた。
ただ違ったのは、ぶんはもう食べ物を口にしていなかったこと。
だから吐くことも、トイレに行くこともなく、
ただただ、私の目の前で小さな体を揺らし続けるだけだった。
私はぶんの鼻をめがけて酸素を送りながら、背中をそっと撫でた。
それしかできなかった。
——ぶん、大丈夫だよ。
そばにいる。ずっといる。
安心して。
心の中で何度もそう呼びかけながら、
私はただ、その姿を受け止めていた。

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