はなとぶんの時間

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【ふたりといた時間】第41話:離れても、そばに

ぶんは、あれからもずっと、静かだった。いつものようにソファで丸くなり、押入れにこもって昼寝をし、ごはんの時間には「にゃあ」と小さな声で私を呼んだ。ぶんとふたりの暮らしにも、少しずつリズムが生まれていた。確かに“ひとり”になったはずなのに、そ...
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【ふたりといた時間】第40話:ぶん、ひとりになる

はながいなくなって、今日で何日が過ぎただろう。部屋の空気は変わらないのに、胸の奥にぽっかりと、穴が空いたような気がしていた。でも——ぶんは、まるで何も変わらなかった。いつも通りに目を覚まし、ごはんを食べて、毛づくろいをして、私のところに甘え...
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【ふたりといた時間】第39話:小さな息の終わり

はなの小さな体を、あの人が抱きしめている。泣きじゃくるように、喉を詰まらせながら——『はな。はなと過ごせて、本当に幸せだった。ありがとう。楽しかったよ。出会ってくれて、本当にありがとう……はなぁ……!』“はな”と何度も、何度も呼びかけて、崩...
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【ふたりといた時間】第38話:初めて聞いた声

玄関のドアを開けた瞬間、私は靴を脱ぐ間もなく、はなのもとへ向かっていた。こたつの隅。奥まった、誰の手も届きにくいその場所に、はなはぐったりとスフィンクス座りしていた。まるで、そこだけ空気の流れが止まっているように——静かに、ただそこにいた。...
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【ふたりといた時間】第37話:小さくて大きな”ありがとう”

私が仕事へ行った後。はなは早々に、亜希子さんからステロイド点滴を打ってもらう。時期、はなの呼吸は落ち着きを取り戻した。心配だった。毎日、ステロイド点滴を受けると、身体が慣れ効かなくなる事が心配だったがそんな心配はいらない様だ。何より、はなは...
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【ふたりといた時間】第36話:はなが見つめていた朝

🟥第4章:旅立ち、そして希望(36〜48話)まだ、朝の空気が冷たい時間だった。私は目をこすりながら、いつものようにこたつの中をのぞいた。『はな…?』最近のはなは、いつもこたつで丸くなっているはずだった。だけど、その姿が、そこにはなかった。部...
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【ふたりといた時間】第35話:ふたりの目が合った夜

こたつの中から、かすかに聞こえる寝息。ふたりの丸い背中が、寄り添うように並んでいる。いつの間にか、寝る場所は3人一緒になっていた。はなが好きな猫用のソファは、こたつの中に入れてある。いつも愛用していたひざ掛けも、そっと敷いた。夜、はながトイ...
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【ふたりといた時間】第34話:手の中の命の重み

はなは、もう、今までみたいには歩けなくなってきた。ゆっくりなら歩ける。だけど、すぐに座り込んでしまう。ふらついて、転んでしまうこともある。ほんの少しの移動も、きっと今のはなには冒険だ。だから私は、ある日、そっとはなを抱き上げた。『ちょっと、...
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【ふたりといた時間】第33話:知らないふりがつらい

はなは、今日も「元気だよ」って顔で寄ってくる。ぶんもそのあとを追いかけてくる。まるでいつも通りの朝が、何の変哲もなく始まっていくみたいに。——でも、私は知っている。はなの呼吸が、朝方に少し苦しそうになること。寝ている時間が、前よりずっと長く...
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【ふたりといた時間】第32話:ぶんの声が遠く感じた日

夜、ふと目が覚めた。それは、どこか遠くから聞こえるような、ぶんの鳴き声だった。——いつもの巡回。毎晩、相変わらずぶんは家の中をぐるっと歩きながら、「んあお〜ん」と狼みたいに鳴く。まるで家全体に「見守ってるよ」と言っているみたいに。でも、その...